2020年、コロナ禍にフリーランスエンジニアになった唐澤さん(現在25歳)から話を伺った。
唐澤さんは、高校卒業後、東京のSESの会社でエンジニア経験を2年ほど積み、フリーランスのエンジニアとなった。
(注: SESとはSystem Engineering Serviceのことで、要するにエンジニアを各企業に派遣する会社)
フリーランスエンジニアとして今年で約2年、東京で働いている。
フリーランスになった経緯、仕事内容、フリーランスになって良かったこと悪かったことについて質問した。
フリーランスエンジニアに興味のある方は、是非、お読みください。
これまでの仕事内容について

—— 高校を卒業されてから、大学に進学されずIT系の仕事に就かれているようですが、どういった経緯でITの仕事をされることになったのですか?
唐澤さん: 高校を卒業してしばらくは、アルバイトをしていました。たまたまIT企業で未経験可の求人を見つけたので、応募したら採用され正社員になりました。
SESで、客先に常駐して働く仕事です。
2年ほど、SQLやJavaのプログラム作成をしました。SQLはOracleやSQL Server, JavaはStrutsというフレームワークを用いました。業務資料や詳細設計書の作成などの仕事も経験しました。
—— 正社員を経験したのち、フリーランスのエンジニアになられているようですが、何かきっかけはあったんですか?また、たった2年の経験でフリーランスになれるのですか?
唐澤さん: きっかけは特にないです。エンジニアとして年数も経ったので、なんとなく、時間の自由もあって、より収入の多いフリーランスに挑戦してみようかなと思いました。
2年でフリーランスになった人は、自分の周りではあまり知らないです。ただ、技術力がありタイミングもよければ、2, 3年の経験でも採用されることはあるんじゃないでしょうか。
最近はフリーランスの求人も増えてるため、エンジニア経験年数3年くらいで高望みしすぎなければ、5案件くらいのオンライン面接受けてみると、1つくらい採用されると思います。
—— フリーランスではどんな仕事をしてきましたか?またフリーランスになって収入は増えましたか?
唐澤さん: 取引先で、Linuxのシェルを書く仕事をしました。それまで、業務でのシェルの経験はなかったのですが、SQLやJavaなど、エンジニアとしての経験があったので採用につながったのだと思います。
給料は、サラリーマンの頃に比べて1.7倍ほどです。
1年ほどシェルの仕事をしてきましたが、今は取引先を変えてネットワーク関係の仕事をしています。
OpenStackを用いた社内クラウドを扱う会社で、ネットワーク周りのポートやインフラの設定をしています。1年ほど働いています。給料は月に4万円ほど増えました。
日本最大手のフリーランスエージェント: レバテック

最近は、コロナが落ち着いてきたこともあり、フリーランスの求人は以前よりも増えている。また、唐澤さんのように、IT業界の経験がなかったり、専門学校に出ているわけでなくても、若ければSESなどを中心に就職することも可能だ。
フリーランスのエンジニアになれば、給料が2倍になることもある。
フリーランスを目指すのならば、スキルが身に付く仕事を何年も続けることをお勧めする。例えば、Linux, SQLなどどこでも使うスキル、Java, Ruby, Pythonなどメジャーなプログラミング言語、GCP, AWS, SalesForceなどのクラウド・インフラの知識、等が身に付く仕事だ。
逆に、テスター、保守・運用、手順書の作成など、定型業務は何年積んでも、スキルアップにつながりずらい。フリーランスを目指すのならば、こういった仕事ばかりするのはお勧めはしない。
フリーランスになって良かった点と悪かった点について

—— 実際にフリーランスになって良かった点はありますか?
唐澤さん: 時間と金銭的に余裕ができたことが良かった点です。リモートが中心でたまにデータセンターに行くだけなので、空間的にも自由に仕事できます。
自分は、厚生年金を支払うよりも現金が欲しいと思っています。
厚生年金の場合、自己負担と会社負担を含めて給料の約30%を支払います。その分老後の生活費を多めにもらえますが、長期的に投資すれば、年金よりもインデックス投資の方が計算上の年利は高いです。自分は厚生年金に多額のお金を支払うなら、インデックス投資をしたいと考えています。
—— 逆にフリーランスエンジニアのデメリットはありますか?
唐澤さん: 会社員の頃と比較して、組織に属しているという感覚が希薄になっています。
時勢だからというのもありますが、飲み会のようなものもほとんどないです。今はチャットツールでプロジェクトのメンバーとコミュニケーションを取っています。自分で頑張って誘うということもできなくはありませんが、チャットツールだとなかなか難しいです。出社していれば、雑談の中で飲みに誘うこともできます。
それでも会社員なら忘年会もあれば、社内の部活のようなものもありますが、フリーランスの場合はそういったものもなく、孤独感が強いです。
だから、10年以上エンジニアをやってても、給料2倍くらいになるとしても、気の合う仲間がいるからフリーランスにならない人もいるのだと思います。
—— そこのデメリットはどのように解決すればよいと思いますか?
唐澤さん: 2つあります。1つ目は、Discordなどを使っていろんな人と繋がることです(注: Discordとは、Facebookなどのようにネット上で不特定多数の人とコミュニケーションを取れるツール)。趣味、考え、仕事などの共通点を探して仲良くなれば、Discordでいろんな人と繋がれると思います。2つ目は、規則正しい生活を送ることです。健康に良い食事を取って、散歩などをすることで、孤独感を多少紛らわすことに繋げられます。
エンジニア転職: クラウドリンクス

フリーランスになってのメリットとデメリットについては共感できることも多かった。
筆者自身、フリーランスになって給料は1.2倍ほどになり、残業もほとんどしなくなったが、組織に属していないことによる希薄な人間関係を感じた。
ただ最近は、フリーランスのコミュニティも増えてきているようだ。そういった場で、つながりを見つけられればと思う。
エンジニアとしての今後について

—— これからやってみたい仕事はありますか?
唐澤さん: これからは、プログラミングをする仕事をしたいです。コードを書きたいと思っています。シェルのプログラミングから次にインフラ系をやってみましたが、やっぱりコードを書いている方が楽しいかな?とやってみてわかりました。すでに、営業やチームの人には話していて、来月からpythonを用いた開発の仕事に移してもらえることになりました。
また、請負の仕事にも挑戦したいと思っています(注: 請負の仕事とは、ある時間拘束されてする仕事ではなく、要求された商品を作成して、完成品を渡す仕事。自由に働ける反面、商品を期間内に完成させなければならず、リスクも大きい)。お金の未払いという問題もあるようなので、弁護士の人に契約書の作成や請求のお願いをしたり、ランサーズなどに仲介に入ってもらうことも考えています。法人化して、人を雇用して仕事を回せれば、可能性も広がると思います。
—— 正社員に戻りたいなと思うことはありますか?
唐澤さん: ないですね。どうしてもやりたい仕事があって、それをするには正社員にならなければいけないなら、正社員になると思います。ただ、シンプルに、正社員かフリーランスかを比較した場合、フリーランスを選ぶことになるでしょう。
フリーランスエージェント: フォスターフリーランス

柔軟さはフリーランスの大きなメリットだ。正社員の場合だと、その時の会社の状況や運に配属が作用されやすく、一度、仕事内容が決まると、変更には時間がかかる。
フリーランスだと、仕事変更の要求は通りやすく、取引先を変えて自分のしたい仕事につくことも可能だ。また、ある分野でプロフェッショナルになれば、高所得な企業にも転職でき、正社員に戻ることも可能だ。
まとめ
今回は、実際にフリーランスエンジニアの仕事をされている唐澤さんから仕事のリアルな話を伺った。
大学を卒業してから正社員として働くことがある種の既定路線とされている日本においては、フリーランスという選択は理解されづらい。
それでも、本記事で、フリーランスの仕事をより身近に感じていただけると幸いだ。お金や契約のことなど、考えることは増えるが、その分フリーランスは正社員にはないメリットもある。
フリーランスに興味を持った方は、いろんなフリーランスのエージェントに問合わせて、無料面談を受けてみることをお勧めする。
