以前は、会社員としてシステムエンジニアをしていため、フリーランスは稼げるのか、フリーランスのいい点悪い点、節税をするにはどうするのか、といったことを自身の経験を通じて会社員との比較も込みで紹介します。
会社員と比較した場合、フリーランスエンジニアは稼げるのか
(参照元: https://heikinnenshu.jp/it/se.html)
・年齢別のシステム・エンジニアの収入
年齢 | 平均年収 |
---|---|
20~24歳 | 314万円 |
25~29歳 | 391万円 |
30~34歳 | 429万円 |
35~39歳 | 490万円 |
40~44歳 | 550万円 |
45~49歳 | 616万円 |
50~54歳 | 660万円 |
55~59歳 | 655万円 |
60~64歳 | 446万円 |
これで見ると、一番多い、50代で660万円ほどです。
これは中小企業から大企業まで含んだ平均なので、これよりも多い人もいますが、平均年収よりは多くても1000万円を超えるような高収入はなかなか難しいです。
ちなみに、会社ごとに見ると
・大手SIerの平均年収
会社名 | 平均年収 | 平均年齢 |
---|---|---|
NTTデータ | 828万円 | 38.7歳 |
野村総合研究所 | 1150万円 | 39.9歳 |
富士通 | 798万円 | 43.2歳 |
日立 | 903万円 | 41.4歳 |
大手Web系企業では
・大手Web系企業の平均年収
会社名 | 平均年収 | 平均年齢 |
---|---|---|
Yahoo | 765万円 | 35.7歳 |
楽天 | 689万円 | 33.7歳 |
サイバーエージェント | 709万円 | 31歳 |
リクルート | 846万円 | 34.8歳 |
一般的に、SES企業は平均年収500万ほどだと言われています。
上記を総合すると、
- SIerの大手で、平均年収は900万ほど、ただし、そこまで稼ぐには年齢は40歳近くになります
- Web系の企業では、30歳前後で年収700万ほどになる可能性もあります。30歳後半からは独立するタイプが多く、平均年齢は低いです。
と言えます。
ただし、これは大手の話であり、一般的にはIT系エンジニアの収入は平均で500~600万ほど、1000万円までの人は、正社員ではかなり珍しいです。
では、フリーランスでは、年収1000万円までいくことができるのか。これから解説します。
フリーランスエンジニアの年収はどれくらいか
(参照: こちら)
これは、筆者の感覚値とも一致します。
年収(売上)が1000万円を超えてくると、翌々年に消費税の支払い義務ができるため、1000万円以上まで上げられる人は、税制面を考えて、あえて1000万円以下にしているからです。
1000万円を超えたら、法人化することを検討する人もいるでしょう。
逆に、年収(売上)が700万円以下のフリーランスエンジニアの多くはフリーランスになって1年目~3年目の層です。
一番単価の少ない案件で45~50万円ほどなので、フリーランスエンジニアは最低でも、年収500~600万円だからです。
(参考: https://geechs-job.com/project)
つまり、フリーランスのエンジニアの大部分にあたる、経験年数3年より大きい層は、700~1000万円ほどです。
そして、フリーランスの経験を十分に積めば(5年以上)、20代、30代でも月収80万、年1000万弱は十分稼ぐことができます。
では、次にフリーランスエンジニアのメリット・デメリットについて説明します
フリーランスエンジニアのメリット
メリット1: 年収が高い
一番大きなメリットは、年収が高いことです。
メリット2: 残業がほぼない
これは、雇用形態にもよりますが、一般的には残業はないです。
フリーランスの契約の場合、普通は委任契約で
- 140~180時間/月で、60万円/月の給料
のような形になります。
ちなみに請負契約の場合には、
- 60万円で、1カ月中に製品を作る
のような形で、1時間で製品を作ろうが、200時間かけようが1カ月で製品を作成すれば同じ金額がもらえます。
(請負契約では、残業をしてでも期間内に製品を仕上げないといけないため、リスクが高くフリーランスでは請負契約をやりません)
よって、フリーランスは委任契約であり、140~180時間という決められた時間内作業します。契約時間以上働く必要はありません。。
契約時間ギリギリまで働くことになるわけでもないです。
多くの現場では、7.5時間、8時間、平日決まった時間だけ働くというような働き方です。
(7.5時間を20日すると、7.5 × 20 = 150時間となり、契約時間の140時間を超えます)
メリット3: 勤務日数を自由に決められる
フリーランスは勤務日数を自由に決めて案件を選ぶことができます。
例えば、
- 月70万ほしいから、週5の仕事で働きたい
- 月30万でいいから、週2の仕事がしたい
など、仕事を選べば週1~週5まで勤務日数を変えることができます。
兼務をすれば週7勤務も不可能ではないです。
そのため、エンジニアとして週3で働き、別の日は副業をしているという方もいます。
メリット4: 副業が自由にできる
勤務日数を決めながら、副業を自由にできるのが、フリーランスとしてのメリットです。
フリーランスになると、その年の売り上げの申告は自分で行います。
副業を含めていろんな事業を行い、その売上を足し合わせて確定申告をして税金を支払います。
会社員の場合は、副業を認めていない、許可が必要、仕事が忙しくて副業をする時間がない、周りからの圧力など、副業を始めることがなかなか難しいことも多いでしょう。
フリーランスでは、副業は自由ですし、副業をする時間も十分あります。
実際に
- システム開発
- 書籍販売
- ブログ、動画サイトなどの情報発信
など、様々な形で副業をしている人がいます。
メリット5: 節税ができる
フリーランスになると節税ができます。
出費の一部を経費にして、翌年に支払う税金を安くできます。
例えば
- 家で作業をしている人は家賃の一部(全部ではない)
- 交通費
- PCなど仕事に使う道具
- 飲みなどの接待費(友人との飲みは×)
などです。
他にも、節税できるものはあり、正社員の方よりも支払う税金を少なくすることができます。
もし、仮に上の経費が年間で200万円になった場合
所得税+法人税の負担率が30%だとすると
200 × 0.3 ≒ 60万円/年
得することになります。
メリット6: 企業経営について学べる
フリーランスの場合、
- 確定申告
- 契約
- 副業
など、本業以外にも1人でいろんな事務作業をすることになり、経営する際に必要になることを経験することになります。
仕事が将来あるのかという不安も多少はあり、お金を稼ぐことについて真剣に考える機会は多いです。
将来、起業するためのファーストステップとして、フリーランスになるのもよいです。
フリーランスエンジニアのデメリット
デメリット1: 信用力が弱い
フリーランスのエンジニアというのは、信用が低いと言われています。
家のローンが組めない、家賃の高いアパートに住めない、クレジットカードの審査が通らないなどがあると言われています。
これは、フリーランスエンジニアになる前には私も良く言われていましたが、実際にフリーランスエンジニアなった後に、困ったことはないです。
普通にクレジットカードも作れ、家の賃貸契約もできます。
ただし、家のローンを組むのはさすがに、正社員の方が有利だと思いますので、家のローンは正社員のうちに組んでおいて、独立することをお勧めします。
また、フリーランスを何年も続けて毎年安定した収入を得たり、法人化するなどをして信用力を高めて、家のローンを組むこともできるようになるかもしれません。
- 家の購入は、会社員のうちにした方が良い。
- クレジットカードは問題なく作成可能(セゾンビジネスアメックスプラチナ、楽天ゴールドMasterは申し込んで作れました)
デメリット2: 仕事が安定しなくなる恐れがある
これは、フリーランスになるうえで一番大きなデメリットです。誰でも仕事がなくなるのは怖いでしょう。
会社員の場合は、仕事を教えてくれる人がいます。
研修制度があり、仕事をするレベルにない人も、会社に育てられてレベルアップできますし、何より、簡単にはクビにはなりません。
会社が倒産、リストラでもない限り、職をなくすことはありませんし、転職することもできます。
フリーランスの場合には、仕事を教えてくれる人がいるとは限りません。
もちろん、現場によっては、教わりながら仕事を進めることもできるかもしれませんが、仕事を教えてくれる人はいないものと考えた方が良いでしょう。
企業側も、即戦力として、率先して仕事をしてくれることを期待して雇っているからです。
また、よほどでなければ契約解除されませんですが、仕事ができない場合は契約解除になることもあり得ます。
最悪の場合以下のケースが考えられます。
- 会社員を辞めて、フリーランスになり、企業と契約して働く(月額60万円)
- 仕事ができず、3カ月で契約解除される
- 再び会社を探すが、3カ月で前職を辞めたことにより心証が悪く、仕事が見つからない。
- 仕事が見つかったが月額が下がる(月額50万円)
- 以下、2-4を繰返し、月額40万円に落ち着く
逆に良いケースだと以下のようになります。
- 会社員を辞めて、フリーランスになり、企業と契約して働く(月額60万円)
- 契約を何度も更新し、1年間以上同じ企業で働き、技術も身につく
- 次の現場では月額70万円で契約する
- 2-3を繰返し、最終的に月額100万円まで月収が上昇する
プラスのループに入れば成功ですが、マインスのループに入った場合挽回することは大変です。
プラスのループに入るには、自分で努力して技術力を高められるか。仕事を進める上で、コミュニケーションをとれるか(疑問点、問題点、進め方などを共有できるのか)。
が大事です。
そのため、「自分はフリーランスとしてやっていけるのか」を確かめるために、自身の職場で働いているフリーランスの方を見て、自分が同じ仕事をできるのかをよく考えてみるのもよいかもしれません。
最初にダメだなと言われると第一印象を覆すことは難しいため、私の場合は、新たに現場に入る前には、必ずその現場で使用する技術について、本や学習動画などで一通り勉強するようにしています。
デメリット3: 人との交流が少なくなるかもしれない
他にも、会社員と違って、同じ会社に所属していることによる、人とのつながり、連帯間は少なくなります。
現場によっては、一日中、誰ともしゃべらないこともあります。
これは、フリーランスになって辛い部分の1つです。
特に、同じ会社の会社員同士は、仲間意識も強いですが、フリーランスは基本一人で仕事をしていて、1つの会社で働く期間も短く、連帯感は少なくなります。
そんなことは気にならないという人は問題ないですが、そうでない人は、会社以外でも人のつながりを探すことを考えた方がいいでしょう。
では、次にどうすれば稼げるフリーランスになるにはについて説明します。
どうすれば稼げるフリーランスエンジニアになれるのか
1.自分のコアとなるスキルを作る
エンジニアとして稼ぐためには、コアとなる技術が重要です。
エンジニアの募集要件は、
- pythonの開発経験3年以上
- Ruby On Railsの使用経験5年以上
などとなっています。
また、経験の年数が多いほど年収が高い傾向です。
募集要件を満たさないと採用はされにくいため、経験年数を上げる必要があります。
逆に、Rubyの経験は1年、JavaScriptの経験は1年、ゲーム開発(Unity)の経験は1年、のように色んなスキルを幅広く経験していても、募集要件を満たさないと採用はされずらいです。
浅く広くいろんな経験をしているよりは、一つのコアとなる技術を極めている方が良いです。
正社員でも、フリーランスの方も、将来何のエンジニアになりたいのか、どの技術をコアにしたいのかを、まずは考えて経験を積んでいきましょう。
2.幅広く周辺のスキルを身に着ける
1のコア技術を身に付けるのと同時に、どの現場でも必要だから身に付けるべきスキルもあります。
以下のようなスキルは、クライアントサイド、サーバサイド問わずある程度必要です。
- 基本情報/応用情報レベルの情報に関する知識
- Gitを用いたリポジトリ管理
- HTML、CSS、Javascriptなどのフロントエンドの簡単な知識
- Linuxのコマンドライン操作、シェルスクリプト
- Dockerを用いた環境構築技術
- AWS、GCPなどのクラウドの操作
- ログからのエラー解析スキル
- SQL
これらのスキルは、職種に依らずあれば喜ばれます。
ただし、深く知らなくてもある程度知って使う事ができれば十分です。
これにプラスして、Ruby On Railsのアプリケーション開発者ならば、Ruby On Railsの開発経験が〇〇年。
IOSの開発者ならば、Swiftの開発経験が〇〇年などコアな技術が必要になります。
覚えることはたくさんあって大変かと思われますが、そこまで深く知る必要はないです。ある程度、知っていればよいです。
独学でもいいです。私の場合は、AWSの経験がなかったので、AWSをUdemyで独学で学びました。
このとき、面接のときにAWSの経験を聞かれたので、AWSをメインで仕事していたわけではないが、ある程度、使い方を知っていると言いました。
職種は、サーバサイドのエンジニアでインフラエンジニアではないので、ある程度知っているで十分です。
3.面接に慣れる
最後に、面接に慣れることが重要です。
面接は苦手だという人もたくさんいるかと思いますが、安心してください。
フリーランスエンジニアの面接は、正社員と比較して難しいものではないからです。
なぜならフリーランスエンジニアに求められているものは、技術力や専門性だからです。
フリーランスの面接は、新卒採用や中途採用の面接よりもよっぽど簡単で、正社員では採用されないようなタイプの人でもフリーランスのエンジニアならば、採用されることはよくあります。
基本的には、スキルが要件を満たしているのか、最低限のコミュニケーション力があるのかを見るだけです。
フリーランスエンジニアの面接で良く聞かれる質問は以下のようなものがあります。
- これまでの経歴を教えてください
- ○○という技術についてどれくらい経験がありますか
- ○○というツールを使いますが、使ったことはありますか
- 逆に質問はありますか
それぞれ、準備して答えられるようにしましょう。
質問に的確に答えることができれば落ちることはまずないです
弊社のどこに魅力を感じたのか、学生時代頑張ったことは、苦労して乗り越えた経験は、等の新卒採用の面接の際に聞かれるような質問はないです。
「逆に質問はありますか」という質問は、別に質問力を試している訳ではなく、働くうえで疑問を解消する意図で聞かれています。
単純に聞きたいことを聞けばよいです。
どういうサーバ構成か、働く人は何人か、何時から何時まで働くのか、ミーティングは週何回あるのか、等等。単純に聞きたいことを聞けばよいです。
4.コミュニケーションはある程度できるようにする
これは、仕事をしていく上で、必要なことです。
ちゃんとコミュニケーションを取ってやる気を見せて仕事をしっかりとしていることを示しましょう。
- ミーティングの際には、自分の進捗と、今後の予定、作業が終了する日を的確に伝えること
- エラーなどの問題点についてわかりやすく話し、どうすれば解消できるのかを伝えること
- わからない点などは、正直に聞くこと
など、社会人として常識的なコミュニケーションをとれるようにしましょう。
5.1つの案件をある程度長く続けるようにする
フリーランスのエンジニアになると基本的には案件は自由に選べます。
ただし、案件を早く辞めすぎると、次の案件紹介で心証が悪くなります。
すぐに辞める人を企業側も雇いたくないからです。
特に最初の1年目、2年目はフリーランスとして実績を積むことが大事です。
そのためには、同じ案件で最低でも1年勤めましょう。
まとめ
今回はフリーランスのエンジニアとして稼げるにはどうすればよいのかについて記述しました。
以下、まとめです。
- 正社員では年収1000万円をこえることは難しいが、フリーランスエンジニアの場合は20代、30代でも十分可能
- フリーランスエンジニアのメリットは、残業がほぼない、勤務日数を選べる、副業が自由、経営について学べる、節税ができるなど
- フリーランスエンジニアのデメリットは、信用力が弱い、仕事が安定しない恐れがある、人との交流が少なくなるかもしれない(ただし、これらは本人の努力で挽回)できる
- 稼げるフリーランスエンジニアになるには、コアの技術を持ち、共通の技術についてはある程度理解し、コミュニケーションをある程度取れるようになることが重要
ご自身がフリーランスエンジニアとしてやっていけるのか、すでにフリーランスエンジニアの方は、もっと収入を上げられる案件はないのか、案件紹介のプロに相談するのが良いです。
下記は、私も利用しているレバテックさんのサイトです。
最初の相談だけでしたら無料ですので、是非、ご利用下さい。
自分がフリーランスとしてやっていけるのか、収入はどれくらいになるのか、正確に見積もって頂けます。
自分の実力を図るには一番いい方法だと思います。